谷戸沢処分場は、多摩地域25市1町のごみの最終処分場として、林地を切り開いて埋立地が造成され、昭和59年から平成10年4月まで埋立てを行ってきました。埋立て終了後も適切な維持管理を継続して行うとともに、ごみの埋立てにより失われた里山的自然環境の再生のため、清流復活用貯水池やビオトープを設置するなど、生態系を豊かにする取組を続けた結果、現在では、豊かな里山の生態系が再生しています。
これらの取組により、生物多様性が維持されていること等が評価され、令和7年9月16日に内陸の管理型最終処分場では初めて「自然共生サイト※」に認定されました。
しかし、約14年間にわたって埋め立てられた廃棄物が地中に今も存在しているため、閉鎖管理をしており、誰でも自由に立ち入ることができる場所ではありません。今後も当組合は地域の方々のご理解とご協力のもと、谷戸沢処分場の適切な維持管理を行うとともに、生物多様性を維持、増進する活動に継続して取り組んでいきます。また、様々な見学会を通して、廃棄物処理の経過や処分場の現状等を知るとともに、自然の大切さを学んでいただく機会を多摩地域の皆様に引き続き提供してまいります。
※「自然共生サイト」とは、生物多様性の損失を止め、反転させるネイチャーポジティブ実現に向けた取組として、「地域における生物の多様性の増進のための活動の促進等に関する法律」に基づき、企業の森や里地里山、都市の緑地など民間の取組等による生物多様性を増進する活動計画を環境省が認定する制度です。認定された活動の実施区域を「自然共生サイト」と呼びます。
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埋立造成中
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現在
谷戸沢処分場における自然再生の取組
埋立て事業の実施
トウキョウサンショウウオの保全
トウキョウサンショウウオは、国の絶滅危惧種(絶滅危惧Ⅱ類)に、また、日の出町の天然記念物にも指定されています。1986年から、場内で産卵池の整備などの保全活動を続けています。
カヤネズミの球巣初確認
清流復活用貯水池の設置
処分場下流側の谷戸川に生息しているホタルを保全するため、冬季に河川の水が枯れないよう、清流復活用貯水池を設置しました。
アニマルスロープの設置
キツネなどの小動物が処分場の外周水路※に落ちてしまうことがあるため、動物たちが森に帰れるよう、水路内にアニマルスロープを設置しています。
※周辺に降った雨水等が埋立地内に流れないようにするための設備
湿地ビオトープの設置
清流復活用貯水池の一部に浅瀬(湿地ビオトープ)を設置し、モリアオガエル(日の出町の天然記念物)などの水生生物が生息しやすい環境を整えました。
オオムラサキの成虫初確認
国蝶オオムラサキの保全
オオムラサキの幼虫は、エノキの葉を食べ、冬になると根元の落ち葉で冬を越します。2009年から、落ち葉が風で飛ばされないよう、場内にあるエノキの根元に保護柵を設置しています。また、2011年にはオオムラサキケージを設置し、オオムラサキが育ちやすい環境を整えています。
幼虫のための保護柵
オオムラサキケージの設置
フクロウ巣箱の設置
場内の森林にフクロウの巣箱を設置しました。2016年から営巣が確認されています。里山の生態系の頂点にいるフクロウが営巣することは、豊かな自然が再生していることを示しています。

